理事長挨拶

         平成31年3月
第4期理事会・理事長 田島 信元




 平成20年5月に設立された本学会は、平成30年4月より第4期の理事会体制を組んでおります。その間、故藤永保初代理事長のもとに活動の組織化を模索した第1期を経て、青柳肇前理事長のもと、第2期、第3期において継続性の高い、研究者、支援者、保護者の三位一体型の学会活動の組織化がなされてきました。今期は、それらの体制を引き継ぎつつ、改めて学会設立の目的に立ち返り、より安定的で発展的な、活性化された活動を展開していく体制を組んで、さらなる発展をめざしていきたいと考えております。

 そこで、本学会がこの11年間蓄積してきた知見のもと、これからの10年間において更なる深化、拡大を目指していくにあたっての視点や方針についていくつか述べさせていただきたいと思います。

(1)研究者・支援者・保護者の三位一体の学会とは何か!

 通常、学会というと研究者が研究交流のために集まる団体という発想が当たり前のことですが、本学会が目指す「子育て」に寄与する研究活動は、単に、研究者が独自で研究を行うことで完遂するわけにはまいりません。子育て活動を直接的に行っておられる保護者を始め、保護者とともに子どもたちに専門的に関わる保育士、幼稚園教諭、学校教員、地域支援活動者といった方々、また、直接、間接的に子育て活動を支援されている自治体・行政機関等の担当者や、民間の教育制度に携わる方々、さらに、子育て活動の重要なツールを提供されている民間企業や出版社などの幅広い支援者の方々などから得られる幅広い経験、知見を統合し、かつ、保護者、支援者の方々の直接、間接の子育て活動の中で研究成果を吟味していただき、新たな視点を得ていかなければ、真の意味で子育て活動に寄与する研究はできないと考えてきました。

 そういうわけで、本学会は、当初、研究者が中核となって“子育て活動に対して研究者の役割を果たすためには、支援者、保護者との共同活動が必須”という考えで始まり、真に子育て活動に貢献する「子育て学」を打ち立てたいという願望をもってやってまいりました。しかし、この11年の歩みの中で、我々は、研究者会員として、支援者会員として、保護者会員として、それぞれの役割を果たしつつ相互に交流してきただけでなく、いつのまにか、研究者が支援者、保護者の目をもち、実際に子育ての現場で研究していく態勢ができてきたように思います。同様に、支援者の会員、保護者の会員も、研究者の視点を取り入れつつ、それぞれの実践、支援活動に活かしていくといった意識を強くもってこられたと考えております。その意味では、学会入会時は、それぞれ研究者、支援者、保護者という所属ジャンルを選んで登録された方々も、まさに、自分はどのジャンルに位置づく会員なのか、曖昧になってきている側面さえ見られるようになってきました。これこそ、本学会が目指してきた研究者、支援者、保護者の三位一体型活動の進むべき道だと思います。現在も、自分が依って立つ所属ジャンルは存在しますが、これはあくまでも出発点での自己申告に基づくものであり、その後は、会員ご自身の活動の進展に伴い、やはり自己申告により、所属ジャンルを変更されていくことを推奨していきたいと思います。

(2)さらなる研究者、保護者、支援者の三位一体型活動の推進のための事業とは!
 これまで、研究者、支援者、保護者の三位一体的活動を目指すという設立目的の枢要な柱としての活動としては、(Ⅰ)定期的な「年次大会」と、随時開催の「地域大会」による研究・支援活動交流、(Ⅱ)研究編と実践編を併せ持つ機関誌『子育て研究』の発刊、(Ⅲ)経常的に三者が三位一体的活動を実践する場としての「地域実践プロジェクト」推進、および、学会がテーマを会員から募り、支援していく「研究プロジェクト」推進、などを行ってまいりました。今後は、これらの活動をさらに深化・拡大していくという方針のもと、いくつかの新規事業実施を含む活動を進めてまいります。
 以下に、第4期で推進している活動方針を述べておきます。

  1. 学会活動の深化・拡大の基盤づくりのためにも、学会員数の拡大を積極的に目指してまいります。そのために、積極的な新会員勧誘活動を行い、積極的に委員会活動に誘うなどの展開を推進してまいります。とくに、会員数としてはまだ層が薄い保護者会員の方々のご入会を切に期待しております。
  2. 学会の社会的貢献の幅を広げ、社会に対し、学会活動の成果を発信し、学会としての意見を積極的に表明、提案していくという学会の初期目的の一つを実行に移す体制づくりを開始します。そのためには、まず、意見表明・提案の重要な源の一つとなる「学会プロジェクト研究」の深化・拡大を図るとともに、その結果の集約、検討、伝達・広報方式を確立していきます。また、その一環として、日本学術会議登録団体の加盟の準備を行うとともに、積極的な関連諸学会との連携的な活動を目指していきます。
  3. 保護者活動の位置づけと展開、および自治体、教育産業団体などの外部団体との連携活動などについて、継続的で具体的な活動の場を設けながら、これまでの活動の深化・拡大を目指します。
  4. 来年度より、保護者会員を中心に、かつ、研究者会員、支援者会員も対象とした「学会認定子育て支援士(仮称)」資格制度の創設、認定実施を開始いたします。これは、三位一体の学会員による研修に基づくもので、会員、会員外の方々は研修参加の実績に基づいて、基礎レベルと発展レベルの2段階にわたる資格を取得することができるものです。それは、単に、資格を取得してもらうというだけでなく、その後の更なる研修を学会員とともに継続していただきたいという学会の願いに基づいています。
  5. 首都圏外での子育て学会活動の発展を期し、支部組織化を検討しています。全国各地で行われている継続的で、社会貢献的な子育て研究、実践経験を共有し、お互いの活動の発展に資する学会活動にしていきたいという願いに基づいています。

 今後とも、会員の皆様の更なるご支援、ご協力、そして会員外の方々の積極的なご入会のほど、よろしくお願い申し上げます。

以上